東京大学史料編纂所

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市立米沢図書館史料調査

 昭和四十八年三月六日、桃源瑞仙伝記史料(大日本史料第八編之二十九、延徳元年十月二十八日条)蒐集のために、市立米沢図書館(米沢市南堀端町三五)に出張し、同館所蔵の『史記桃源抄』その他を閲覧撮影した。『史記抄』は文明八・九年、当時近江の永源寺に応仁の乱を避けていた瑞仙が門弟らに「史記」を講説し抄書したもので、自筆本がかつて東京大学付属図書館にあったが、関東大震災に焼失した。現存する諸本については、大塚光信「史記抄の諸本と本文」(『国語国文』昭和三十九年五月号)に詳しい。この米沢本(四冊)は、誤まって『幻雲史記抄』(十二冊)が混入され十六冊として一括されていたが、その中の「史記桃源抄共十六」(周本紀第四)「同三」(項羽本紀第七)「同五」(孝文本紀第十、孝景本紀第十一)「同十六止」(太史公自序第七十)が桃源の抄にあたる。閲覧撮影したものは次の通りである(*は奥書のみ撮影)。なお『米沢善本の研究と解題』(昭和三十三年)参照。
 (1)史記桃源抄 四冊
 (2)幻雲抄 十二冊
 (3)白玉蟾集 一冊
 (4)詩学大成抄 十冊
 (5)百人一首抄 一冊
*(6)古今栄雅抄 (十三冊)
(小泉宜右・今泉淑夫)


『東京大学史料編纂所報』第8号p.82